当事務所は、司法書士の私と、土地家屋調査士の夫の合同事務所。最近、未登記建物の登記のご依頼が増えています。

建物を登記簿に載せる「表題登記」は土地家屋調査士、この建物が誰の物かを登記する「保存登記」は司法書士。2つの登記が必要ですが、当事務所は、両方まとめてお受けできます。

 

ところで先日、高槻市役所の無料登記相談の当番に行ってきました。

毎週水曜日の午前中、高槻市内の司法書士が順番で無料相談を受けるのですが、毎回盛況でご予約の枠がいっぱい。今回もお1人25分の相談時間いっぱいいっぱいまで、入れ替わり立ち替わり。終了時点では、毎回もうぐったりです。

「登記相談」という名目ですが、毎回相続や遺言のご相談がほとんどで。特に今回は4月の相続登記の義務化が市民の皆さんに浸透しているらしく。「急いで相続登記をしないと。」というご相談が多かったです。

 

これだけ「相続登記」が重要視されている中、忘れがちなのが未登記の建物です。

銀行でローンを組んで建物を建てた場合は、担保に入れるため、新築の時に必ず登記をします。しかし、現金で建てたケースでは、登記をせずにそのままにされていることがあります。

年月は経ち、持ち主であるお父様がお亡くなりになり、いざ遺産分割となった時、土地はきちんと相続登記をされても、登記されていない「未登記」の建物はそのままにされているケースが結構あるのです。

 

そうしてまた何十年か経って、相続人がこの土地建物を売ろうとした時、建物の登記がされていないことに気づきます。そこで慌てて、登記をするにはどうすればいいか?

まず、相続戸籍の収集と遺産分割協議書の作成です。お父様が亡くなった時、土地は遺産分割協議をして、相続登記を済ませていますが、建物の遺産分割協議はしていません。なので、建物についても、同じように相続戸籍一式を集めて、遺産分割協議をすることになるのです。

それだけでも大変ですが、この何十年の間に相続人の誰かが亡くなっていたら?更にその相続人を特定して、遺産分割に参加してもらう事になります。そんな大変なことにならないために、遺産分割の際には必ず、未登記の建物も忘れずに記載し、表題登記と保存登記をしておいてください。

 

ここで、うちも建物の登記をしていないとお気づきの方。そのまま取り壊すならいいですが、そうでない場合は、できるだけ早く登記されることをおすすめします。もしかしたら、以前土地の相続登記をした際、遺産分割協議書に建物のことも書いてあるかもしれません。また、その時集めた戸籍や、相続人の印鑑証明書が使えるかもしれません。そうであれば、比較的簡単に建物の登記ができます。

またそのうちにと放っておくと、代がかわると折角使える書類も探し出せなくなってしまいます。未登記建物は早めに登記手続きを。更に相続の際には、未登記建物の遺産分割もお忘れなく。